先月25日に発表されたマレーシアの2014年予算は、不動産業界に大きな影響を与えるものでした。
大きな点は、不動産に関する規制の導入です。
不動産投機への過熱警戒から不動産取得税(RPGT) 税率が30%に引き上げられます。PRGTは、一昨年、昨年と引き上げられてきましたが、 今回の特色は現地人と外国人を分けた規制になっています。
外国人の場合、取得後5年間のうちに転売するとRPGTは30% 、6年目以降は5%となります。マレーシア人の場合、最初の3年間が30%、4年目が20%、 5年目が15%、6年目以降は無税です。
随分と外国人に厳しい印象に感じてしまいますが、 新築の物件を着工前から買った場合
を考えれば、だいたい3、4年の建設期間があり、 その後1年待てば高い税率が避けられることになります。そもそも新築物件の場合、 建設中は転売できないので、RPGTをあまり意識し
すぎる必要もありません。
RPGT引き上げは、投機目的の購入を抑制し、 不動産バブルを未然に防ぐことに効力を
発揮しそうです。09年のリーマンショック以降、 不動産価格は20-50%%程度高騰してい
ます。これ以上の価格上昇に歯止めをかけることは、 持ち家の夢が遠ざかる国民の不満を
和らげるほか、 供給も価格も需要レベルに抑制されていくはずです。
さらに大きな点は、外国人が購入できる物件価格の下限をRM50万からRM100万に引き上 げることも盛り込まれました。この措置は、来年1月1日から施行されるということは確実で業界は動いています。
外国人の場合、取得後5年間のうちに転売するとRPGTは30%
随分と外国人に厳しい印象に感じてしまいますが、
を考えれば、だいたい3、4年の建設期間があり、
すぎる必要もありません。
RPGT引き上げは、投機目的の購入を抑制し、
発揮しそうです。09年のリーマンショック以降、
ます。これ以上の価格上昇に歯止めをかけることは、
和らげるほか、
さらに大きな点は、外国人が購入できる物件価格の下限をRM50万からRM100万に引き上
しかし、ここにきて解釈や厳密な適用に関して、異なる意見も新聞に出始めてきました。11月9日、ジョホール州州政府住宅政策担当の高官が、「予算発表前に開発認可を受けたプロジェクトの物件に関しては、外国人の最低購入価格をRM50万に据え置く」という趣旨の発言をしました。
ジョホール州は、イスカンダール・マレーシアという巨額な外国投資を受け入れることで軌道に乗り始めているプロジェクトを擁しており、外国人の購入を前提にした物件が数多くあります。また、同プロジェクト内には、メディニ(Medini)という今回の措置が適用外の地区があります。
そもそも外国人が購入できる不動産物件価格の最低額に関しては、州政府が州の事情により決定してきた経緯があります。予算発表前の段階でも土地が少ないペナン州では、外国人購入可能な最低額は、RM100万でした。
今回の高官の発言は、開発業者の声の大きさを反映し、州政府としても考慮し始めている状態であることがうかがえます。また、高官もあくまでも州政府としての立場ではなく、個人の立場として新聞にコメントを流すことにより、世論が形成されることを意図しているフシがあります。
どうしてこう回りくどい事態になっているかというと、マレーシアでは政府発表はあくまでも骨子であり、世論の反応をみて肉付けをしていくという手法が採られているケースが多々あります。
激しい討論の上で納得し、公平という価値観で白黒をつけるという欧米的な感覚とは対極にあるアジア的な文化が背景にあります。“お上”として指導力は発揮するが、情状酌量も十分に聞き入れる余地を残しておくというバランス感覚と風土が、多様な価値観と文化を持って共存を目指す多民族社会で培われてきたのかもしれません。
弊社としても同州で不動産売買を扱う弁護士などにも聞き取りをし、予算案前の開発認可を得ている物件に関しては、外国人最低購入価格を据え置くという措置が十分な説得に足る案として、施行される可能性があると感じています。また、ジョホール州の動きが、他州にも波及する可能性も少なからずあると考えています。
今後もこの件については、動きがあり次第お伝えする次第です。
0 件のコメント:
コメントを投稿