今回の予算案は、来年4月から導入される物品・サービス税(GST)などに集中していた観がありますが、開発プロジェクトの分野でも大きな発表がありました。
大クアラルンプール首都圏(グレーターKL)のさらなる鉄道網の拡充としての役割りを担うMRT(大量高速鉄道)の2号線とLRT(軽便鉄道)の3号線の建設が予算に盛り込まれました。これら2つの計画は、前々から話題となってきましたが、今回の予算案で正式に実現に向けて踏み出すことになりました。
15日付けの英字紙『ニュー・ストレート・タイムズ』では、独占記事としてLRT 3号線の路線を掲載しています。LRT 3号線に関しては、KLの南西に位置するクラン(Klang)からバンダー・ウタマ(Bandar Utama)を結ぶ路線であることは発表されていましたが、具体的な路線の原案が出てきたのは今回初めてです。
今回発表された路線は、バンダー・ウタマからジョハン・セティア(Johan Setia)まで全長36kmで26ヵ所の駅を設置するとしています。予算としてRM90億(約2,970億円)が割り当てられており、15年末から工事が始まることになっています。
LRT 3号線は、バンダー・ウタマを始点とし、トロピカーナ(Tropicana)、ハイコム-グレンメリー工業団地(Hicom-Glenmarie
Industrial Park)を経由し、セランゴール州州都シャー・アラム(Shah Alam)の主要地区を通過していきます。シャー・アラムでは、スタジアムとマラ工科大学、新興開発地区アイ・シティ(i-City)、ブキット・ラジャ(Bukit Raja)などに駅が建設される案です。
さらに路線はクラン市街から南に伸び、ブキット・ティンギ(Bukit
Tinggi)を経て、ジョハン・セティアが終点となります。バンダー・ウタマ駅は現在建設中のMRT 1号線、クラン駅では既存のKTMコミューター線の乗り継ぎ駅となる予定です。おそらくハイコム-グレンメリー工業団地地区に建設される駅は、現在工事が進んでいるLRTクラナ・ジャヤ線から延長してくる路線の乗り継ぎ駅となるものと思われます。
プロジェクトの推進当局である地上公共交通委員会(SPAD)は、今後も一般からの声を聞きながら路線や駅を確定していきたいとしています。LRT 3号線は、拡張する郊外都市として歴史があるプタリン・ジャヤ(Petaling
Jaya)の受け皿となって発展してきているシャー・アラムとクランという2つの地区をつなぐ鉄道として周辺に住む30万人の足となることが期待されています。
ちなみに予算案ではMRT 2号線は、「クランバレーMRT 2号線」という名称となり、RM230億(約7,590億円)の予算が割り当てられています。スンガイ・ブロ(Sungai Buloh)から行政都市プトラジャヤ(Putrajaya)までの路線となることが予想されています。
KL中心街から南西ラインを結ぶLRT 3号線、南北ラインとなるクランバレーMRT 2号線が決定したことにより、大クアラルンプール首都圏という巨大なキャンバスの白地に色彩を加えていくことになるでしょう。
15日付けNew Strait Times掲載。なんと一面トップです。 |
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